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「夢が叶う」とは「その夢で食べていける状態」であること

ニュース記事で気になったものから。

カラテカ入江さんです。

色んな情報が流れていますが、ちょっと気になったことを書いてみます。

この入江さんのやってきたことに対して、失礼ながら個人的に名前の知らない芸人さんからは、擁護のコメントがほとんどのように思います。

 

 

申し訳ないのですが、この芸人さんもよく知りません。このツイートで気になったのは

「生活できない、そんな吉本芸人は山ほどいる。」

のところ。

 

テレビに出れば、「一発屋」と呼ばれていても「ピーク時月収1千万オーバー」とか聞きますし、売れている芸人さん(歌手、俳優、芸能人全般)の給料がものすごいことは、ご存知のとおり。

 

ずいぶん以前には「高額納税者」が発表されていた頃なんかは、ダウンタウンさんとか、とんねるずさんとか、元SMAPさんとか、「(収入ではなく)納税額が億単位」だったりします。

 

ただ、その分デビューしたばっかりとか、あまり売れていなかったりすると、本業ではほぼ食べていけないのではないかと思われます。

 

ある時社長に連れて行かれたちょっと高めのキャバクラで席についた5人の嬢全員が「本業はモデル」と聞いて、

(あの業界で食べていけるようになるのは、ほんとに一握り)

と、しみじみ思ったものです。

 

そこで、「夢を追いかける」と「生活できない」の線引をどうするか?と考えたときにその企業や団体、また個人にとってどうするかはとてもむずかしい判断になるわけですね。

 

生活の保証をしないタイプ

「吉本はギャラ安い」と所属の芸人さんがネタにするくらいですから、ほんとでしょうね。ダウンタウンさんでも初舞台は「500円」だったそうです。

(源泉徴収税額を引かれて、手取り450円とか)

契約関係も「雇用」ではないので、仕事に応じたギャラで支給しているはずです。

 

(ただ、複数の吉本所属芸人さんが『契約書にサインしたことない』といってますので、外部の人間には詳細は不明)

 

となると、雇用契約ではないようですし、基本給とかも発生していないようなので、全く売れていない芸人さんでも「売れてないからクビ」という形をわざわざ取らなくてもいいことになります。

 

会社としては仕事した分のギャラを支払うだけで、生活の工面とかは会社としてはノータッチというスタンスかと思います。その分、バイトしたり、会社に迷惑かけない範囲で副業したりというのは特に禁止していない、と思われます。

 

今回の入江さんの場合、自分で取ってきた仕事を後輩芸人さんに回していたりして、そこから発生するお金でその芸人さんたちが食いつないできた、とても助かっていたのに、という思いが会社批判とも取れるツイートが多く見られる要因でしょう。

 

吉本興業のやり方が良い悪いは一旦置いておきまして、一つのパターンとしては、

「芸人として売れなかったとしても、会社としては強制的にやめさせることはないが、会社所属の芸人といっても、将来の収入を保証するものではない」

となります。どちらかというと「自己責任重視型」と言えます。

 

では、生活出来ない「夢」をいつまで続けるのか?

という問いには、島田紳助さんがMー1を始めた当初、出場者を芸歴10年以内で区切った理由がわかりやすいです。

「10年やって売れてなければ、やめたほうがいい」

 

この言葉は、芸人さんという仕事の一つの考え方なんでしょう。また、厳しいようでも紳助さんの一種の愛情表現とも言えます。

 

(20年、30年売れない芸人のままの人生を送るのは決して良いことではない)

人生そのものを棒に振るな、ということでしょう。

 

生活の保証をするタイプ

「プロ」と呼ばれる職業である程度の生活の保証をするタイプのものもあります。

この「生活できない」吉本興業所属芸人の話が出たときに真っ先に思い浮かんだのが、日本将棋連盟の「プロ棋士」になるためのシステムです。

 

簡単に説明すると

「プロになったらある程度の生活の保証をする代わりに、プロになれない人は比較的若いうちから諦めてもらうシステムがある業種」

となります。これは、吉本興業とは対照的です。

 

将棋のプロになるためのシステムを簡単に説明します。実は、将棋のプロ棋士というのは「四段になった人」のこと。

そして、この「四段」になるためには、プロ棋士の養成所「奨励会」(正式名:新進棋士奨励会)に入りまして、通常6級からスタートします。

(プロ6級ですが、アマ5~6段くらいの実力)

 

そこで、公式戦を行い規定の勝数に達すると昇段していきまして、まずは「三段」を目指します。

そして「三段リーグ」という三段の人たち全員でリーグ戦を行い、上位2名が四段になる(=プロとなる)という、いたってシンプルなシステムです。

(現在進行中の三段リーグは、参加者33名)

 

三段リーグは年2回あるので、基本的にプロ棋士は年4人誕生することになります。

(例外として、リーグ戦3位を2回とった人は、「フリークラス」と呼ばれるプロ棋士になれる)

 

四段になれた人の「三段リーグ」在籍期間は、長い人だと17期(8年半)かかっています。通常は複数期在籍するのですが、その中でも「三段リーグ」を1期で抜けた人もいます。

中川大輔八段・先崎学九段・小倉久史七段・屋敷伸之九段・川上猛七段・松尾歩八段・三枚堂達也六段・藤井聡太七段の8名です。

 

基本的には、学校やまわりの大人たちから「天才」と呼ばれてきた少年少女たちが集まって対戦するのですから、四段になるのは簡単ではありません。

 

実は、将棋のプロになることが厳しい理由の一つに、「年齢による退会規定」があるためです。吉本興業と対照的と言ったのはこのことです。結構若い年齢のうちからばっさり切られます。

 

退会規定ですが、

満21歳の誕生日までに初段、満26歳の誕生日を含むリーグ終了までに四段になれなかった場合は退会となる。

これが基本です。

早いと21歳でプロになる道を諦めさせられるわけです。

 

そして26歳が2つ目の山場。

ただし、最後にあたる三段リーグで勝ち越しすれば、次回のリーグに参加することができる。以下、同じ条件で在籍を延長できるが、満29歳のリーグ終了時で退会。

26歳以降は、「三段リーグ」で勝ち越せば次のリーグに参加可能。負け越せばそこで退会。延長を繰り返しても満29歳で四段になれなかったら、そこで「完全に」終了、という決まりがあります。

 

女流棋士でダントツの成績だった里見香奈さんも「三段リーグ」に参加しましたが26歳のとき、勝ち越せずに退会しています。(現在は女流棋士)

 

退会が決まったときに、呆然として動けなくなった人、負ければ退会というリーグ戦でなんとか四段になれたとき廊下で号泣した人など、人それぞれいろんなドラマがあった、と聞いています。

 

そしてこういう退会規定ができた理由について、

「プロになれないまま、30歳、40歳とずるずる行くのは、人生を棒に振る可能性がある。そういう人を生み出してはいけない。早く諦めさせるのも親心」

と、いう趣旨のようです。

 

これは、島田紳助さんの考え方に近いものがあります。

「夢をあきらめるのも勇気」

ということなんでしょう。

 

基本的に諦めなければ成功する、とよく言われますが、万人がそうであるかどうかは、夢の種類などのことも含めて、とてもむずかしい問題なんですよね。

 

ただし、将棋のプロも例外規定が出来て、正規ルート(奨励会→四段)でプロになれなかった人でも、アマチュアの大会で優秀な成績を上げている人がプロのなれる可能性があります。(現在アマチュアからプロになった人が2名いる)

自分のやりたいことと、自分の長所が一致しない場合

トム・ラスという方が書いた本です。タイトルの「ストレングス」は強み、「ファインダー」は見つけること、見つけ方です。

本全体の趣旨は、「自分の強みを見つけて、それを人生に活かす」ということです。

 

ポイントとしては

「自分のやりたいことと、自分の強み(長所)は一致しないことが多い」

「自分の強みを自分で把握すること」

「自分に向いていないことに長期間取り組むことは得策でなない」

となっております。

 

本の冒頭で、映画「ルディ/涙のウィニングラン」のもとになったアメフト選手のことをばっさりぶった切っています。

 

この物語の主人公は、アメフトがどうしてもやりたくてノートルダム大学に入りますが、身長は170cm未満、お世辞にもアメフト選手に向いているようには見えません。

結局、大学の4年間試合に出場することもないまま卒業前の最終試合、試合がほぼ決した状態のラスト数分間に試合に出場し、見事相手選手にタックルを決め喝采を浴びることになります。のちにホワイトハウスにも招待され、彼は一躍英雄になる、というお話です。

 

感動的ではありますが、この著者は容赦なく反論します。

「欠点を克服することに重点が置かれすぎている」

「才能を存分に発揮している人達が称賛されない傾向にある」

これはこれで十分説得力のあることです。

 

しかし、難しいのは

「じゃ、自分の才能ってなんなの?」

「今頑張ってることは無駄なの?」

ということ。

 

これについてピッタリの答えはないでしょう。

 

著者の説明でわかりやすいたとえは

「マイケル・ジョーダンはプロの野球選手やゴルフ選手にはなれなかった」

ということ。

 

たしかに、バスケットをやらずにいきなり野球選手を目指していたらどうなっていたかはわかりません。

 

これは、仕事関係だともっと明白です。ものを作る職人が、なれない営業職で苦労するよりも、営業が得意な人に売ってもらって手数料を払い、自分はものづくりに専念する、のほうがはるかに効率的です。

 

これもある種

「できないことを無理にやらずに諦めて、他の手段を考える」

ことと言えます。

 

こうやって考えてみると、今、現状あまりうまくいっていない人は、なにか得意ではないこと、苦手なことにあえて挑戦しているのかもしれません。できることは自分でやり、できないことは人に任せてしまってもいいのかもしれません。

 

また、今の職場が自分にとって合わないと感じているならば、それはやはり自分にとって一つの「サイン、兆候」である可能性が高いです。

 

自分のできること、頑張ったほうが良いこと、諦めたほうがいいこと、人に任せてしまったほうがいいこと、これを一度ゆっくり考えてみてはいかかでしょうか。

 

なにか今までとは違った自分に出会えるはずです。

参考になれば幸いです。

 

今回は以上です。

では。

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